裏付けられたヨガの効能
ヨガの愛好者達は、ヨガと健康を結びつけて効能をあれこれ挙げている。体が柔らかくなる、筋肉が強化される、バランスがとれた肉体になる、ストレス解消につながる、自己認識が深まって自己肯定感が高まる……。
それを実際に証明するとなると、多数のボランティアの協力が不可欠である。
この分野では、米コロンビア大学の理学療法医、ローレン・M・フィッシュマン博士(機能回復医療が専門の博士)は、ヨガが骨粗鬆(こつそしょう)症の治療に効くかどうかを調べるため、長年にわたってヨガと骨の健康に関するデータを取集してきた。
適正なヨガのポーズ(姿勢)と、そのヨガを規則正しく何年間も続けて身体の変化を定期的に測定した。
米国では毎年、背骨の骨折が70万件以上あり、座骨骨折も30万件を超す。より多くの被験者による調査研究で同様の結果が得られるならば、費用が安く、骨質量減少の治療薬に代わる安全性の高い療法として、ヨガを勧めることができる。博士は、そう考えた。
骨密度の低下に対処する薬物療法は、胃腸障害や大腿(だいたい)骨への悪影響といった副作用が出る可能性がある。そして老化の臨床措置に関する医学誌「Clinical Interventions in Aging」に最近の研究報告しました。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と診断された女性12万6188人のうち、診断後1年以内に薬物治療を始めたケースは全体のわずか28%だった。多くは、胃腸障害の副作用を避けるために薬物治療を嫌がりました。
一方、フィッシュマン博士ら研究者は最近の論文で、ヨガの「効能」を以下のように指摘している。「姿勢が良くなる、均整がとれた身体になる、筋肉運動の協働性が高まる、柔軟性が出て肉体も強化され、精神的な不安が減り、足取りがしっかりしてくる」
骨質量の減少に対しては体重に負荷をかける運動がいいとされるが、博士は、それにはヨガが適していると主張する。「ヨガは、重力以上に骨に負荷がかかる」とし、「筋肉と筋肉が押し合うことで造骨細胞が刺激される」というのだ。
博士はニューヨーク・タイムズのインタビューに応え、「ヨガは骨質量の減少に悩む人にとっても安全なようだ」と述べた。
たとえ骨密度が増加しなくても、ヨガを続けることで姿勢やバランスが良くなり、それが肉体の保全につながる。フィッシュマン博士は、そう話している。
(Jane・E・Brody)
(C)2015 The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)